薬剤師ライターの藤原です。
この記事では私が普段行っているWebライターのお仕事についてご説明します。
薬剤師とWebライターは一見全然違うお仕事ですが、薬剤師の知識を執筆に活かせることはとても多いです。
また、最近では医療現場や研究での経験が、サイトの企画・テーマ選定などに大変役立つことも実感しています。
薬剤師の仕事とは
病院や薬局において、薬剤師の主な業務は、医師が交付した処方箋に基づいてお薬を調剤し、服薬指導、薬歴管理を行うことです。さらに、身近なお薬の専門家として、患者さまからの健康相談に応じることもあります。
このほかにも、例えば化学メーカーや製薬メーカーにおいて、薬剤師は化学成分の性状や効能効果をふまえて化粧品・医薬部外品・医薬品などの研究開発を行うこともあります。開発された製品は厚生労働省に承認を受けるために薬事申請をしますが、ここでも薬剤師が関与することが多いです。
Webライターの仕事とは
Webライターの主な仕事は、企業や公的機関などのWebサイトに掲載するコラム記事や文章を執筆することです。文献収集や取材を行って、記事を執筆します。紙媒体の執筆とは違い、SEO対策を意識したライティングが求められることもWebライターの特徴です。
SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略語です。Googleなどの検索エンジンで、検索結果の上位に表示されるように、Webページを最適化することを指します。SEOは、Webサイトの運営やマーケティングにおいて非常に重要な要素であり、検索エンジンからのアクセスを増やすことで、ビジネスの成果につながることが期待できます。
例えば、「グリチルリチン酸ジカリウム」という化粧品成分について詳しく知りたい方が、Google検索で「グリチルリチン酸ジカリウム 抗炎症」と調べたとします。このときに出てくる記事の順番を上位にあげるための施策がSEOです。
一般に、検索順位の1位に表示される記事のクリック率(CVR)が最も高く、順位が下がるにつれてCVRが低くなります。
2021年にseo Clarityが調査したデータによると、CVRは1位が13.9%、2位が7.52%、3位が4.68%…10位は1.32%です。
Webサイトへのアクセス数を増やし、より多くの人に記事を読んでもらうためには、検索上位に表示させることがとても大切であることが分かります。
薬剤師×Webライターの掛け算
では、医療従事者である薬剤師が記事を書くことでどのような効果があるのでしょうか。
主な効果として以下の3点があげられます。
正しい医療情報を伝えることができる
近年、Chat GPTやPerplexity AIといったAIツールの技術が格段に向上し、誰でも簡単に医療系の記事を書けるようになっています。しかし、AIが作るコンテンツの情報は誤りや誇張表現がある場合も多く、完全に信用できる内容とは言えません。また情報の引用元についても、公的機関の文書や論文ではない一般サイトである場合が多々あります。
一方で、医療系記事の執筆を医療従事者である薬剤師が行うことで、より情報が精査され、正しい医療情報を読者に発信できると考えられます。
読者が安心して記事を読むことができる
読者である一般の方々も、Web上には誤った医療情報が多く出回っていることはよくご存じです。そのため、「この記事の情報は本当に正しいのか」と不安に感じられることがあると思います。
そこでWebサイトやコンテンツ内に、医療従事者によって執筆された、もしくは監修されたことを明示することで、読者が安心して記事を読むことができます。また読者からの信頼を得られれば、そのサイトへのリピーターも増し、アクセス数が増えることにもつながります。
SEOの評価が高まる
医療系コンテンツで上位を狙うためには、YMYL(Your Money Your Life)とE-A-Tについて知っておくことが重要です。
YMYLとは、ヒトの健康や生死に関わるものやお金に関するもののような、私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性のあるキーワードを指します。
E-A-Tとは、Googleが検索品質評価ガイドラインの中で用いでいる言葉で、
Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字をとった略称となります。
近年Googleは、特にYMYL領域でのコンテンツについてE-A-Tを非常に重要視しており、医療従事者が執筆・明記することでSEOの評価も高まります。
薬剤師が行うWebライティングとは
では、Webライターがどのようなお仕事なのかについて少しだけご紹介します。
記事のキーワード選定
記事のキーワード選定は、SEOにおいて非常に重要です。
コンテンツ内容の選択やキーワード選定はクライアント側で行われる場合も多いですが、メディア運営の依頼を受けた場合は、記事のライティングと共にコンテンツ企画・キーワード選定を行う場合もあります。
記事のテーマやキーワードを決める際に利用するツールとしては「キーワードプランナー」があり、1か月にどれくらいの方がそのキーワードを検索しているのか(=月間平均検索ボリューム)を調べることができます。
検索ボリュームが大きいキーワードはアクセス数を伸ばしやすいですが、その分競合サイトも多いため、コンテンツ内容の充実度だけでなく、しっかりとSEO対策して執筆することが必要です。
一般に、月平均検索ボリュームが1万回以上をビックキーワード、1000~1万回をミドルキーワード、1000回未満をスモールキーワードと呼びます。
情報収集
記事のテーマやキーワードが決定したら情報収集を行います。
厚生労働省が発表した文書を読んだり、PubMedで海外論文を読んだりするほか、時には特許庁J-PlatPatで特許文献を読んで情報を収集することもあります。
また、例えば海外で流行している化粧品成分などは、日本語で資料を検索しても簡単に情報が出てこなかったりする場合があります。そういった場合は構造式を確認して、「親水基が多いから保湿効果高そうだな」といったように、ある程度成分の性状を確認してから、関連キーワードを予想してリサーチをかけていくこともあります。
記事の執筆
記事の執筆はwordやGoogleドキュメントで行うこともあれば、WordPressなどのブログサイトに直接書き込む「CMS入稿」をすることもあります。
CMS入稿の場合は、SEOの観点からH1、H2、H3タグにどのようにキーワードを入れ込んでいくのかも考えます。必要に応じて、ライティングと一緒に適切な画像選定も行い、alt属性の対策や時にはCanvaで画像加工を行うこともあります。
また、医療・美容関連の商品やサービスに関わるライティングを行うときは、薬機法や景表法などの法律に配慮しながら執筆を行うことも大変重要です。薬機法では、顧客を誘引する意図があること・商品名が明らかにされていること・一般人が認知できる状態であることを満たしたものは全て「広告」とみなされ、法律で厳しく取り締まりを受けます。
例えば化粧品やサプリメントの集客・販売を目的としたホームページのコンテンツ記事の場合、その記事は「広告」にあたるため、特に注意して執筆を行います。
サイトへのアクセス流入を解析
記事を執筆して納品・入稿した後は、ご依頼によっては一定期間が経過したのちに、記事への流入数やWebサイトへのアクセス数を解析することもあります。解析ツールとしては主に「Googleアナリティクス」や「サーチコンソール」を使用します。
サーチコンソールでは、作成したコンテンツがきちんとGoogleにインデックス登録されているか、記事の順位やCTRは上昇してきているか、サイトへアクセスする際のクエリ(Google検索で使用したキーワード)はどのようなものがあるかなどを確認します。
Googleアナリティクスでは、サイトへ訪問したユーザーについて、どれだけの人がどこから訪問し、どのようなコンテンツを閲覧したのかを確認します。具体的には、ページビュー数(PV)、平均ページ滞在時間、直帰率などを確認します。
サーチコンソールとGoogleアナリティクスの情報を合わせてサイトを解析することで、次に執筆する記事のテーマや、すでにある記事のリライトの必要性などを判断することができます。
医療現場での経験を活用
薬剤師向けサイトや医療機関のコンテンツ制作を行う場合は、自分が実際、現場に立ったときに必要だと感じた知識や困った経験、患者さんとのやり取りで分かったことなどをテーマ企画や記事の執筆に活用することも多々あります。
これらの内容は、インターネットからの情報では入手できなかったり、入手できるまでに時間がかかったりするため、コンテンツの独自性につながりSEO評価も高めることができます。
医療・健康・化粧品のコンテンツ制作でお困りの方
薬剤師は医療関係の知識からサプリメントや栄養、化粧品の化学的知識まで幅広く身に着けています。
医療・健康・化粧品のコンテンツ制作でお困りの方・企業さまはぜひ一度ご相談ください。
また近年では、副業としてWebライターをされる方も増えてきています。
医療従事者の方でWebライターのお仕事に興味がある方もお気軽にお問い合わせください。
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