【2024年12月】二重価格表示で措置命令、商品・サービスの広告で気を付けるべき8週間ルールとは

2024年12月17日、消費者庁はメイク・ネイルスクール運営事業を行う株式会社デザインワードに対し、二重価格表示に関する景品表示法違反であるとして措置命令を行いました。

商品やサービスを販売するECサイトにおいて、通常価格よりも安い価格で提供することをアピールできる二重価格表示は、適切に行えば通常問題ありません。しかし、その設定された通常価格が実際と異なる場合には景品表示法違反となります。

この記事では、今回の措置命令の内容や二重価格表示で注意すべき8週間ルールについて、お伝えします。

目次

二重価格表示とは

二重価格表示とは、
・当店通常価格10,000円が今だけ4,950円!
・通常授業料150,000円が期間限定で50%OFFの75,000円!

のように、販売価格とそれより高い価格を併記することで販売価格が安くなっていることを強調し、消費者の購買意欲を高める目的で用いられる表示のことです。

二重価格表示は商品やサービスを販売するECサイトでよく見られる表示であり、適切に用いれば問題ありません。
しかし、販売価格と併記する通常価格が実際と著しく異なる場合、つまり、実際に商品・サービスがその価格で一定期間販売されていた実績がない場合には、一般消費者を誤認させる表示であるとして、景品表示法の違反対象となります。[1]

株式会社デザインワードに対する措置命令

2024年12月17日、消費者庁はメイク・ネイルスクール運営事業を行う株式会社デザインワードに対し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。これは二重価格表示が要因とされ、「提示した通常授業料が最近相当期間にわたって提供された実績のないものである」と判断されたことから、景表法違反となりました。[2]

引用元:消費者庁 株式会社デザインワードに対する景品表示法に基づく措置命令について

二重価格表示で注意すべき8週間ルール

消費者庁が示す「最近相当期間」にわたって販売されていた実績のある価格とは、一般的に以下の「8週間ルール」と呼ばれるにルールにそって判断されます。[3]

①過去8週間のうち4週間以上は販売実績があること

例えば、「通常授業料150,000円が期間限定で50%OFFの75,000円!」と表示する場合、期間限定セールを開始した時期から8週間遡って150,000円で販売した期間が3週間しかなければ、ルールに抵触します。

②販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があること

例えば、スクールを授業料150,000円で開いて1ヶ月後に、期間限定で75,000円の受講料にする場合は、2週間以上通常価格でスクールを販売した実績があるために二重価格表示を用いても問題ありません。
一方で、スクールを開いて1週間しか経過していないにもかかわらず、期間限定のセールを開始したとして「通常授業料150,000円が期間限定で50%OFFの75,000円!」と表示した場合にはルールに抵触します。

①または②を満たす場合でも、実際に販売された最後の日から2週間以上経過している場合はNG

通常価格での販売が終了してから2週間以上、該当サービスが販売されていない状態が続いた場合にも、サービス再開時に二重価格表示を行うことはできません。
例えば、150,000円のスクールの販売を1月1日で一時停止したとして、1月15日以降に同じスクールを75,000円で再開する場合、それは最近相当期間にわたって販売された実績とは言えないため、「通常授業料150,000円が期間限定で50%OFFの75,000円!」と表示することはルールに抵触します。

二重価格表示の違反事例の罰則

二重価格表示に違反すると以下のような罰則を受ける可能性があります。

措置命令

消費者庁が調査した結果違反事例が認められた場合には、事業者に弁明の機会を与えた上で、以下の命令を発令します。
・一般消費者に対して、違反行為を周知徹底すること
・再発防止策を講ずること
・将来、当該違反行為を繰り返さないこと

今回の株式会社デザインワードに対しては措置命令が発令され、事業者もホームページ等で不適切な表示を削除したことや再発防止策を講じていることなどを周知徹底していました。

課徴金納付命令

措置命令とともに、課徴金納付命令が課される場合もあります。課徴金の額は、商品やサービスの売上額に3%を乗じて算出され、最長で3年分の売上額が対象となります。

ルールを守って二重価格表示は適切に用いよう!

二重価格表示は、消費者の購買意欲を高める効果的な広告手法ですが、ルールを守って適切に用いなければ、景品表示法に違反します。違反すると措置命令や課徴金納付命令の罰則を受けるだけでなく、会社の社会的な信用にも影響をおよぼします。
商品やサービスを販売するにあたって、値引きや期間限定セールを広告する際には注意が必要です。

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【参考文献】
[1]消費者庁 二重価格表示
[2]消費者庁 株式会社デザインワードに対する景品表示法に基づく措置命令について
[3]消費者庁 不当な価格表示についての景品表示法上の考え方(平成28年4月1日)

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