医療機関が広告を出す際、知らずに違反するリスクが増えていることをご存じですか?
2024年版の医療広告ガイドラインでは、広告における表現規制が明確化され、従わなければ罰則が課される場合もあります。この記事では、医療広告ガイドラインの内容や、違反しやすいポイントについて詳しく解説し、注意すべきNG表現をわかりやすくまとめました。
この記事で読者が解決できるお悩み
・医療機関のWeb広告やパンフレットを制作したい
・ガイドラインを遵守した医療広告を作成したい
・患者に安心して利用してもらえる情報を伝えたい
医療広告ガイドラインとは
医療広告ガイドラインは、厚生労働省が定めた医療機関の広告に関する指針です。医療法の一環として制定され、特に美容医療や自由診療を提供する機関が守るべきルールが細かく定められています。
広告の規制が厳格になったのは2018年の改正以降で、Webサイトも広告として扱われるようになりました。その結果、広告違反が認められた場合には「6ヶ月以下の懲役」や「30万円以下の罰金」が課せられる可能性があります。
医療広告ガイドラインの規制対象となる表現
医療広告ガイドラインでは、特定の表現が規制されています。これらの表現は、患者や利用者に誤解を与えやすく、適切な治療の選択を妨げる可能性があるためです。主なNG表現は以下の通りです。
比較優良広告
他院と比較し「日本一」「最高の治療」といった最上級表現を使うことは禁止です。たとえ事実であっても他院を批判したり、優劣を明示する内容は認められません。また、著名人の来院を強調するのも、誤解を招く可能性があるため避けましょう。
引用元:医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第4版)
虚偽・誇大広告
科学的な根拠がない治療効果や情報提供、「絶対安全」「痛みゼロ」といった表現も禁止されています。
また、「あなたに最適な治療を提供」「最先端の治療法」など、患者に期待を抱かせすぎる内容は、医療広告としては適切でないとみなされます。
さらに「満足度〇〇%」などの統計データを使用する場合、根拠を明示しなければ虚偽・誇大広告と判断される可能性があります。
引用元:医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第4版)
2024年版の最新の医療広告ガイドラインでは、オンライン診療で「いかなる場合でも、処方箋医薬品等を必ず受け取れる」かのような患者さまに期待を抱かせる表現も、誇大広告に当たるとして不適切な表現と新たに注意喚起しています。
引用元:医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第4版)
体験談や口コミ
実際の患者の体験談や口コミも、広告での使用は認められていません。患者ごとに効果が異なるため、体験談が誤解を招く可能性があるためです。さらに、スタッフの主観的な意見も広告として掲載することはできません。
2024年版の医療広告ガイドラインでは、患者や利用者のSNS投稿を引用した体験談・口コミの紹介も違反になるとして、新たに注意喚起を出しています。
引用元:医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第4版)
ビフォーアフター写真
術前と術後の写真を使ったビフォーアフターの掲載は、リスクや費用などの詳細情報を併記しない限り、NGです。特にリスクや副作用の情報を抜いたままの掲載は、医療広告ガイドラインに違反します。
医療広告ガイドラインの「限定解除要件」とは
本来、医療広告では、患者保護の観点から「医師または歯科医師であること」「診療科名」「病院または診療所の名称・電話番号」「診療日や診療時間、または予約による診療の実施有無」など、いわゆる「広告可能事項」以外の情報は、掲載してはいけません。
しかし、それでは患者が求める情報を十分に提供できない場合があること・医療機関の訴求が難しいことから、「広告可能事項」に限定されない内容を掲載するために「限定解除要件」を設けています。
保険診療については、以下の①②、自由診療については以下の①~④のいずれも満たした場合のみ限定解除が認められます。
①患者が自ら求める情報を表示するWebサイト・その他これに準じる広告であること
患者が自主的にアクセスするようなWebサイトや患者自らが請求したパンフレットなどが該当します。
②問い合わせ先の明記すること
電話番号やメールアドレスなど、問い合わせ先を明確に表示します。
③治療の内容や費用に関する情報提供を行うこと
治療内容や費用について、具体的な説明が求められます。最低金額だけの不明瞭な費用の提示や、通常想定される治療期間・回数を記載していない場合が該当します。
④リスクや副作用の説明すること
副作用やリスクについても、治療効果やメリットと同等程度の情報量・文字の大きさで明確に記載する必要があります。
参考資料:厚生労働省 医療広告ガイドライン(令和6年3月)
限定解除が認められることで、広告可能事項以外の診療科名や専門資格、手術実績、ビフォーアフター写真などが掲載できるようになるため、広告の表現の幅が大きく広がります。
医療広告ガイドラインの違反リスクを抑えるポイント
広告制作時にチェックリストを作成し、ガイドラインに沿っているかを確認することが重要です。具体的には、以下のポイントに注意しましょう。
・データの根拠を明示:満足度や効果に関するデータを掲載する場合は、出典や調査内容も明記する。
・メリットだけでなくリスクも記載:リスクや副作用についても公平に掲載し、過剰な期待を抱かせない。
・誇張表現の回避:少しでも疑義のある表現は避け、誠実な表現を心がける。
違反が指摘された場合、広告アカウントやWebサイト全体が停止されるリスクがあり、患者や利用者からの信頼にも関わるため慎重に対応することが求められます。
まとめ
医療広告ガイドラインは、患者が適切な医療を選択できるよう、広告表現に厳しい基準を設けています。
違反すると罰則の対象となる可能性があり、医療機関の評判にも影響します。今回の内容をもとに、広告制作時にはガイドラインを遵守し、信頼される医療情報の提供を心がけましょう。
医療機関のWEBサイトでの集患にお悩みの方は、ぜひご相談ください。