医療現場の経験に基づいて考える、行動変容を起こすコンテンツの作り方とは

医療従事者とビジネスウーマン

「ユーザーの健康のために、自信を持って世に送り出したヘルスケアアプリ。しかし、アクティブユーザーが思うように伸びない…」
「特定保健指導で熱心にアドバイスをしても、対象者の生活がなかなか変わらない…」
「品質にこだわった健康食品やサプリメント。なのに、定期購入が継続しない…」

ヘルスケア関連の事業に携わる皆様にとって、これらは非常に切実な悩みではないでしょうか。サービスの質は高いはずなのに、なぜかユーザーに届かない、行動してもらえない。その原因は、もしかしたらサービスと“現場”との間に、目に見えないズレがあるからかもしれません。

株式会社Officeファーマヘルスは、医療現場での経験を持つメンバーにより設立された、ヘルスケア分野のコンテンツ制作・開発支援企業です。この記事では、ユーザーの意識と行動を着実に変えていくための具体的なヒントをご紹介します。

目次

なぜ人は「わかっていても行動できない」のか? 〜医療現場からの考察〜

医療現場で見える「知識」と「行動」の深い溝

薬局のカウンターに立っていた頃、日常的にこんな光景を目にしていました。

高血圧の薬を受け取りに来られたAさん。「先生にも『塩分を控えなさい』って言われてるんだよ。わかってる、わかってるんだけどねぇ…あの塩辛い鮭で飲む一杯が、一日の楽しみでねぇ」と笑います。

糖尿病の教育入院を終え、熱心に食事記録をつけていたBさん。しかし、数ヶ月後の外来で「最近、仕事が忙しくてつい外食が増えちゃって…」と、気まずそうに目を伏せます。

健康情報番組を熱心に見て、「体に良い」と言われることは何でも試すCさん。でも、なかなか継続できずにすぐにやめてしまいます。

彼らは決して、健康への意識が低いわけではありません。むしろ、人一倍気にしているからこそ、後悔を口にしているのです。この経験からも「健康のために良いとわかっていること」と、「それを実際に行動に移し継続できること」との間には、時に医療従事者が考えるよりも大きな溝が存在することがわかります。

人の心の準備状態は、皆ちがう

この「わかっているけど、できない」という溝を、医療従事者はどうすれば埋めることができるのでしょうか。

医療現場での経験を通じて感じることは、人の心の状態は一人ひとり、そしてその時々で全く違うということです。これは「行動変容ステージモデル」という考え方に置き換えることで、非常に分かりやすく整理することができます。

行動変容を5つのステージに分類することは学術的な理論ですが、この理論を医療従事者も知っておくことで、患者さんにその時々にかけるべき言葉や提供すべき情報が、驚くほど明確になるのです。

【人の心の段階を表す5ステージ】

① 無関心期:「自分はまだ大丈夫」と、問題に関心がない段階。
② 関心期:「そろそろ変わらないといけないかも…」と問題に気づき、気にはなっている段階。
③ 準備期:「何か始めなきゃ」と、具体的な行動を考え始めた段階。
④ 実行期:「やってみたけど、大変…」と、行動を開始してまだ不安定な段階。
⑤ 維持期:「すっかり習慣になった」と、行動が安定している段階。

Aさんのように「わかっているけど…」と話す方は関心期、教育入院を終えた直後のBさんは実行期にいたのかもしれません。画一的な情報提供が響かないのは当然です。相手が今、この地図のどこにいるのかを想像することこそ、心に響くコミュニケーションの第一歩なのです。

現場の知見を活かす!ユーザーの心に響くコンテンツアプローチ

では、この「行動変容のステージモデル」を頼りに、具体的にどのようなアプローチをすればよいのでしょうか。

【無関心期】の人には、まず“こちらを向いて”もらう

  • 現場での光景: 待合室のテレビで流れる健康番組をぼーっと眺めているが、自分ごととは捉えていない。目の前に置かれた生活習慣病のパンフレットには、最後まで一度も手を触れない。
  • アプローチの要点: ここでいきなり「塩分は1日〇gに!」と正論をぶつけても、心のシャッターがガラガラと下りるだけです。必要なのは、深刻さで脅すことではなく、「へぇ、そうなんだ」という小さな発見や驚きで、心の壁に小さな穴を開けること。
  • コンテンツ例:
    • クイズ系: 「あなたの食生活、隠れ塩分はどのくらい?」などの身近な内容を、簡単にできるクイズ・ゲーム形式で発信する
    • インフォグラフィック: 専門用語を一切使わず、「これって、実はこれと同じくらいの砂糖が入ってる!?」と視覚的に見せる。
    • マンガ・ショート動画: 親しみやすいキャラクターが失敗談を語るなど、エンタメとして楽しめるコンテンツを発信する。

【関心期】の人には、そっと背中を押してあげる

  • 現場での光景: 「最近、体重計に乗るのが怖くて…」「健康診断の結果が、去年より少し悪かったのよね」と、ぽつりと不安を打ち明けてくれる。
  • アプローチの要点: 彼らは行動しないことのデメリットを自覚し始めています。ここで必要なのは、さらに不安を煽ることではなく、「わかりますよ」という共感と、「大丈夫、少し変えるだけで、こんなに良いことがありますよ」という希望の光です。
  • コンテンツ例:
    • リアルな成功体験談: 大げさなビフォーアフターではなく、「血圧の薬が一つ減って、先生に褒められた」「坂道を息切れせずに登れるようになった」といった、等身大のユーザーインタビュー。
    • 専門家による優しい解説: 医師や管理栄養士が「皆さん、そうおっしゃいますよ。でも大丈夫」と、利用者の不安に寄り添いながら、具体的なメリットを語りかけるQ&A記事や動画。

【準備期】の人には、具体的な“最初の”一歩を

  • 現場での光景: 「よし、今日からウォーキングするぞ!先生、どんな靴を買えばいい?」と、やる気に満ち溢れている。
  • アプローチの要点: この素晴らしいやる気を、完璧主義で削いでしまわないことが何よりも重要です。「毎日1時間歩く!」といった高い目標ではなく、「これなら絶対にできる」と思える、驚くほど簡単なベビーステップを一緒に見つけてあげるのです。
  • コンテンツ例:
    • ハウツー記事: 「今日からできる!賢いコンビニ朝ごはんの選び方」「いつもの〇〇を△△に変えるだけ!減塩テクニック3選」
    • ダウンロード資料: 買い物の際に役立つ「食品選びチェックシート」や、簡単な目標を書き込める「1週間チャレンジシート」。
    • スモールステップの提案: 「まずはエレベーターを階段にするだけ」「夕食後の歯磨きの前に、1分だけ足踏みしてみる」など、行動のハードルを極限まで下げた提案。

【実行期・維持期】の人には、頑張りを認め、仲間を

  • 現場での光景: 「頑張って続けてるけど、本当にこれで合ってるのかな…」「最近、ちょっとマンネリでサボりがち…」と、孤独や停滞感を感じている。
  • アプローチの要点: 行動の継続は、孤独との戦いです。「よく頑張っていますね!」という承認と、努力を可視化する仕組み、そして同じ目標を持つ仲間との繋がりが、何よりの支えになります。
  • コンテンツ例:
    • コミュニティ機能: アプリ内やSNSで、ユーザー同士が「今日はこれだけ歩いた!」「こんな健康レシピを試したよ」と報告し、励まし合える場の提供。
    • 称賛・可視化: 継続日数に応じたデジタルバッジの付与や、「あなたはこれまでに地球を〇周分歩きました!」といった、ユーモアのあるフィードバック機能。
    • アドバンス情報: マンネリを防ぐため、少しレベルアップした情報(「次は筋トレも加えてみませんか?」など)を提供し、新たな目標設定を促す。

Officeファーマヘルスが提供できる“現場視点”のソリューション

Officeファーマヘルスは、実際に医療現場で触れた患者さんとの交流体験に基づき、貴社の商品・サービスをきちんと届けて、使い続けてもらえるにはどうすればいいか一緒に考えていきます。
具体的には・・・

正しく&わかりやすく医療情報を提供するコンテンツ制作
私たちは、専門用語を生活者の言葉に“翻訳”するプロフェッショナルです。患者さんの心に響き、かつ医学的に正しい、信頼性の高いコンテンツ(記事、動画、マンガ、パンフレット等)を制作します。

開発段階からの伴走支援
「この機能は本当に使われる?」「この表現は誤解を生まない?」といった現場視点でのフィードバックを通じて、ヘルスケアアプリやサービスの企画・開発という上流工程から伴走します。

薬機法・医療広告ガイドラインへの配慮
医療・健康情報を誤解のないように適切に発信するために守るべきルールを熟知しています。コンプライアンスを遵守した、安心安全な情報発信は大前提です。その上で、いかに魅力的なメッセージを届けられるかをアドバイスします。

【Officeファーマヘルスの実績】

Officeファーマヘルスが支援した医療機関さまでは、サイト訪問者やヘルスケアサービスの利用者が増加しました。
サービスの継続率についても、広告やInstagram経由の流入者と比較して良いことがわかりました。
Officeファーマヘルスでは、正しい医療情報を提供し、ユーザーが理解・納得した上でサービスの利用を開始することで、継続率を高められると考えています。

その商品・サービスを、本当に届けたい人に届けるために

商品・サービスは、作って終わりではありません。情報を届けたい人の心に届け、その人の行動が変わり、生活が豊かになって初めて、その価値が生まれます。

そのために必要なのは、一方的な情報提供ではなく、相手の心の準備段階に寄り添い、時に励まし、時に具体的な道を示す、血の通ったコミュニケーションです。

株式会社Officeファーマヘルスは、貴社とユーザーとの間に立ち、その想いを「伝わる」形にする実践的なパートナーになりたいと考えています。

貴社の素晴らしい商品・サービスに込めた想いや、今抱えているお悩みを、まずはお気軽にお聞かせください。人々の健康課題を解決する取り組みを全力でサポートします!

この記事の編集者

薬剤師/株式会社Officeファーマヘルス代表。
メーカーでスキンケア製品や衛生用品の研究開発に従事した後、薬局薬剤師に転職。 患者さんに服薬指導をする中で、さらに多くの人に医療や健康の正しい情報を発信していきたいという思いを持ち、執筆活動を始める。
SEO検定1級、YMAA認証(薬機法医療法遵守広告代理店認証)取得。       

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