【2024年12月】大手医療脱毛アリシアクリニックが破産申請、9万人超に被害

2024年12月10日、大手医療脱毛クリニックの「アリシアクリニック」が破産申請を行い話題となりました。
負債総額は124億円、債権者は9万人にのぼり、過去最大規模の消費者被害と報道されています。

目次

アリシアクリニックの破産

引用元:医療法人社団美実会、一般社団法人八桜会 公表文書

アリシアクリニックを運営する医療法人社団美実会および一般社団法人八桜会は12月10日に破産申請を行い、同日、東京地方裁判所より破産手続開始決定を受けました。
アリシアクリニックは1回の施術時間や治療期間の短さなどを強みとし、有名俳優を起用した広告宣伝で業績を伸ばしましたが、徐々に売上は低下し昨年4月には売上高134億7380万円、約7500万円の赤字を計上していました。

アリシアクリニックの破産理由の推察

破産理由について詳細は明らかとなっていませんが、主に同業他社との競争激化による患者数の減少や広告宣伝費の増大があげられます。

脱毛クリニック・サロンとの競争激化

美容医療市場規模は、2021年以降年々増加傾向であり、昨年の2023年は医療施設収入高ベースで前年比108.8%の5,940億円と推計されました。女性の美容医療への心理的ハードルが低下したことや男性の美容意識の高まりにより、美容医療を利用するターゲット層が拡大していることから、この傾向は2024年以降も続く見通しです。

引用元:美容医療市場に関する調査を実施(2024年)矢野経済研究所

その結果、近年、医療施設の美容医療市場への参入が増加しており、業界内の競争が激化しています。新規患者数の獲得のハードルが高くなっている上に、熾烈な価格競争で医療脱毛の低価格化が進み、利益率が低くなっているのです。
脱毛サロンなどのエステティック業界(医療脱毛クリニックを除く)でも同様の状況で、2024年1~11月時点の倒産件数が99件となり、昨年2023年の88件を上回りました。

引用元:脱毛サロンなどのエステティック業の倒産 年次推移(2024年)東京商工リサーチ

このような状況下から、アリシアクリニックの場合も他の医療脱毛クリニック・脱毛サロンとの競争激化で患者数の獲得が難しくなり、倒産に至ったと考えられます。

広告宣伝費の増加

新規患者を獲得するために、医療施設はリスティング広告やSNS広告で集客を行います。一般に、美容業界では店舗の売上の20~30%が広告宣伝費の相場であるとされていますが、アリシアクリニックは有名俳優を起用した大規模なキャンペーンにより広告宣伝費が膨らんでしまったと考えられます。

アリシアクリニック破産の影響と今後の展望

アリシアクリニックの破産は美容医療業界にどのような影響を与えるのでしょうか。

現在のところアリシアクリニックから未施術の施術代を返金することは難しく、被害を受けた消費者は9万人にのぼります。脱毛クリニックや脱毛サロンは顧客からの施術前払い金で事業拡大を行うケースが大半であるため、今後このような被害を減らすためにも、前払い制ビジネスモデルに対する消費者保護法が見直される契機になるかもしれません。

また、アリシアクリニックの突然の倒産は、美容医療業界全体への不信感へとつながりかねません。今回の事件で医療脱毛クリニックへの入会を躊躇する方も少なくはないでしょう。
近年では自由診療の過度な広告に対する規制を求める声も高まっており、業界の信頼回復のためにも適切な情報提供や過度・誇大広告の自粛が今後さらに強く求められるようになるでしょう。

価格競争に巻き込まれないためには、患者からの信頼性を高め、高品質な医療を提供する医療機関として認知される必要があります。

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